弘法大師様は「すべての人の心の中には光る玉がある。それを見出して磨くのだ」と獅子吼(ししく)しておられます。
とはいっても、多くの人にとって「そんなこと言ったって、自分には大した才能はないし・・・・」と思う人も少なくないでしょう。
確かに、大谷翔平選手や将棋の藤井聡太名人のような存在は、他の誰もがどんなに努力をしても到達できない能力を発揮しているといえましょう。
しかし、実は本当は、すべての人の中には、素晴らしい力が眠っているのです。私は、空海が求聞持法聡明法を修業して天才になったように、人々が真の自分に出会っていく研修を行なっていますが、本当に毎回参加者の方々の変化に驚かされます。
そして同時に、どれほど多くの人が「自分はダメだ」というレッテルを自分に貼っているのかということに心を痛めています。
それは小学生の子供達であっても、また70代80代の人生のベテランであっても一緒です。下を向いてしょんぼりしていた小学生が、「僕はできる」「私はすばらしい」といって目を輝かせていく姿を見ていると本当にダメなひとはどこにもいないのだなあと感じざるをえません。
私は声を大にしていいたい。「あなたは、誰がなんと言っても素晴らしい。あなたはこの世の中でかけがえのない存在だ」と。
お大師様はいいます。「人と自分を比べてはいけない。人と自分を分けるから嫉妬心が生まれ、自信がなくなる。素晴らしい人がいたら、それは私自身であると感じろ。自分と他人の間に線引きするな」と。
また、かつてお釈迦様は、誕生されたときに数歩歩いて「天上天下唯我独尊(てんじょうてんがゆいがどくそん)」とおっしゃったそうですが、これは「この世の中で自分だけが尊いのだ」と偉そうにおっしゃったのではなく、「天の上にも天の下にも、ただ自分という唯一無二の存在があることが尊いのだ」ということをお伝えになったのです。
自分という存在は素晴らしい。もし今あなたが何かで打ちひしがれていたり、孤独を感じていたり、不安を感じていたとしても、自分自身に対して、自分を勇気付ける言葉を投げかけてあげてください。
きっとあなたの魂はまた元気を取り戻すと思います。
これから暑くなりますが、どうぞ健やかにお過ごしください。
令和6年7月吉祥日
大本山 弘法寺
管長 小田 全眞
護摩祈祷会(御影供/みえく)について。
弘法寺では、毎月21日のお大師様の御縁日の18時〜護摩祈祷会を行っております。
当寺は、檀信徒に限らず、多くの方にひろく門戸を開けているお寺です。
毎回、初めての方からおなじみの方まで、多くの皆さまに足を運んで頂いております。
弘法寺は港区三田・田町駅より徒歩6分ほどに位置しており、「身近に通えるお寺」としての存在になれればと思っております。
弘法寺にてお会いできますこと、心よりお待ちしております。