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【10月度 管長メッセージ】『関心の輪』と『影響の輪』

 秋も次第に深まり、朝夕には涼しさを感じる季節となりました。
空を見上げれば雲も高くなり、木々や草花にも少しずつ秋の気配が感じられます。
季節が移ろうように、私たちを取り巻く世の中もまた、日々刻々と変化しています。

 みなさんは、「関心の輪」と「影響の輪」という話を聞いたことがありますか?

 私たちは毎日、新聞やテレビ、スマートフォンなどを通じて、たくさんの情報に接しています。そうすると自ずと、いろいろなことを感じます。

 実は、世の中のニュースといわれるもののかなりのものが、人間の不安や怒りといったマイナスの感情を湧き立たせるようにできています。

 最近、ユーチューブなどでも「これから10年以内にAIが人類を滅ぼす」といった刺激的な話題を目にすることがあります。AIの進化というのは、とてつもないスピードですから、私たちの心に大きな不安が起こってくるのも無理はありません。

 しかし、ここで静かに自分の心を見つめてみると、私たちがジタバタと思い悩んだところで、未来がその通りに変わるわけではありません。

 つまり、「AIが人類を滅ぼすかどうか」という議題は、私たちに関心があったとしても、一人ひとりの力では直接どうすることもできない領域です。

 しかし私たちは、しばしば自分の「影響の輪」の外にある出来事に対して、くよくよ悩んだり、不安になったりします。

 私は、いつも自分の力の及ばないことに対しては、「これは考えない! 悩まない!」とはっきりと口に出して言うことにしています。

 そして、「自分の力でできることは何か。今、行動できることは何か」に意識を集中していくのです。

 自分なりに人事を尽くしたなら、あとは天命を待つ。そのような心境になれば、実に心が爽やかになります。

 私たちの人生においては、一見些細なことに見えても、自分の影響の輪の外にあるものについて、いつまでも考え続けても仕方がありません。

 自分の身体のこと、家族のこと、仕事のこと、人間関係やお金のこと、そして今、自分が取り組んでいること。もし皆さんが何かに悩んでいるとすれば、それは「自分が影響を与えられることなのか、それとも自分の力の及ばないことなのか」を、一度静かに見極めてみることです。

 そして、自分の力が及ばないことであれば、それに執着せず手放してみる。反対に、自分にできることがあるのならば、それを一生懸命に行う。

 そのような意識を持つと、不思議なことに、自分の人生に爽やかな風が吹き渡ってきます。

 この夏から秋にかけても、熊本では大きな地震が発生し、千葉県では記録的な豪雨や台風によって、各地に甚大な被害がもたらされました。

 地震を止めることも、大雨や台風の進路を変えることも、私たちにはできません。自然の大きな力を前にすると、人間の力がいかに小さなものであるかを思い知らされます。

 しかし、だからといって、私たちに何もできないわけではありません。

 被災された方々に心を寄せること。困っている人がいれば手を差し伸べること。自分自身も災害への備えを怠らないこと。そして、一日一日を大切に生きること。
それらはすべて、私たちの「影響の輪」の中にあります。

 変えられないことを嘆き続けるのではなく、変えられることに心を尽くす。

 『関心の輪』と『影響の輪』。非常にシンプルでありながら、私たちが穏やかに、そして力強く生きていくための大切な考え方です。ぜひ日々の生活の中で意識してみていただければ幸いです。

 最後になりましたが、このたびの地震、豪雨、台風などにより尊い命を失われた方々のご冥福を心よりお祈り申し上げますとともに、被災されたすべての皆様に衷心よりお見舞い申し上げます。
一日も早く平穏な日常が戻りますことを、心よりお祈り申し上げます。

今月も、どうぞお元気でお過ごしください。
合掌

令和八年 十月吉祥日
 大本山 弘法寺
 管長 小田 全眞

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【追伸】
10月10日、出雲・稲佐の浜にて、第4回 神仏習合「平和の祈り火渡り」を厳修いたします。世界の平和と安寧、そして自然災害からの復興への祈りを込め、皆様からの祈願をお預かりする「二願一祈」のお申し込みも受け付けております。

現地にお越しになれない方もご参加いただけます。
詳しくは、下記よりご覧ください。
「二願一祈」お申し込み