
いつも弘法寺の活動に心を寄せていただき、本当にありがとうございます。
9月に入り、これから朝夕には少しずつ秋の気配が感じられるようになるでしょうが、まだまだ暑い日が続くことと思います。どうぞお健やかにお過ごしくださいませ。 おかげさまで、弘法寺は多くの方々に喜んでいただき、祈りと癒やしの場となってきておりますことを、心よりうれしく思っております。
さて、まもなく秋のお彼岸を迎えます。「彼岸(ひがん)」とは、私たちが日々暮らしている迷い多き「此岸(しがん)」に対して、仏さまの悟りの世界を意味する言葉です。そして昔から日本人は、この彼岸の時期にお墓参りをし、ご先祖さまを偲び、手を合わせてきました。
私たちは今、この瞬間を生きています。しかし、私たちのいのちが誕生するためには、無数のご先祖さまから受け継がれてきたいのちの連なりがあればこそです。そして私が、年を重ねるにつれて深く感じることは、人生における「ご縁」の不思議さです。「縁尋機妙(えんじんきみょう)」という言葉があります。よい縁がさらによい縁を尋ね、思いがけない巡り合わせへと広がっていく。その不思議さを表す言葉ですが、まことにそのとおりだと思います。そのご縁の中には、時として苦難も含まれます。先般発生した令和8年熊本地震では、多くの尊い命が失われました。犠牲になられた方々のご冥福を心よりお祈り申し上げますとともに、被災された皆さまにお見舞いを申し上げ、一日も早い復旧・復興を祈念いたします。
私たちにとって、苦難のただ中にあっても、それを乗り越えようと歩み続ける道程そのものが、彼岸へと向かう尊い道であるようにも思います。
私自身、日々教育に携わる中で、それぞれの人が心の内に深い葛藤や苦しみを抱えて生きておられることを痛感します。しかし、それさえも自らの魂が「彼岸」へと導かれていくための尊い出来事であると受け止めることによって、自分自身のいのちにつながる無数のご先祖さまに、感謝の心を持つことができるのではないでしょうか。そしてまた、この世に存在する、すべての生きとし生けるものとのつながりを感じることにもなるのでしょう。
このお彼岸を通じて、自らのいのちの尊さと、そのいのちを生み出すに至った、長く連綿と続くつながりに手を合わせる。そのとき、真の幸せと、魂を彼岸へと導く光が見えてくるのだろうと思います。
何卒、心穏やかに、幸せな日々をお過ごしくださいませ。
合掌
追伸:
9月21日(金)は、国際平和デーです。世界の停戦と非暴力の日とし、すべての国や人々に敵対行為の停止を呼びかけること。そして一切衆生(いっさいしゅじょう)の幸せと安寧祈念し、特別護摩祈祷を厳修いたします。
お誘い合わせの上、どうぞご参拝いただけましたら幸いに存じます。
令和八年 九月吉祥日
大本山 弘法寺
管長 小田 全眞

