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【12月度 住職メッセージ】年の瀬は、“心のほこり”を払う時間

年の瀬は、“心のほこり”を払う時間

 12月に入ると、空気がきゅっと澄んできます。  
1年を振り返るように、自然が「少し立ち止まってごらん」と声をかけてくれているようです。
 家の大掃除と同じように、心にもそっと風を通す季節です。
・気がつけば抱えていた小さな不満  
・言えなかった「ありがとう」
・置き去りにしたままの思い
・ぎゅっと握りしめていた心配ごと
 こうした“心のほこり”を、年の瀬は優しく払うチャンスです。  
仏教では、心は常に移り変わり、固まらず、流れていくものと教えます。  
ならば私たちも、手放せるものから少しずつ軽くしていけばよいのです。

 弘法大師・空海は、  「心の垢(あか)を去れば、自然と光が差す」  
と語っています。
 心にこびりついた“垢”を落とすのは、特別な修行ではありません。  
深呼吸一つでもよいし、誰かに優しい言葉をかけることでもよい。  
今日の自分を、そっとねぎらうだけでも、立派な修行です。

 忙しい時こそ、ゆっくり歩く

 年末は何かと慌ただしくなりがちですが、そんな時こそ一歩だけ歩幅をゆるめてみてください。  
歩くリズムが整うと、不思議と心も整ってきます。

「ああ、今年もよく頑張ったな」  
「あの人のおかげで乗り越えられたな」
「来年は、こんなふうに生きてみたいな」

 そうした静かな“気づき”が、来年の道を明るくしてくれます。
人との縁も、年末に磨かれる
 仏教では、縁は一度きりのものではなく、「育てるもの」と説かれます。  
年末は、普段なかなか言えない感謝や挨拶を伝える、よいタイミングです。

 「ありがとう」を伝えると、お互いの心に小さな灯りがともります。  
その灯りが集まれば、来年を照らす温かな光になります。
結びに 
今年も、あとわずかとなりました。  
どうか無理をせず、よく休み、よく笑い、よく祈り、穏やかにお過ごしください。

 年末は、次の一年への助走です。  
心を軽くして、やわらかく整えれば、来年はもっとしなやかに歩き出せるでしょう。
 皆さまの歩みに、慈しみの光がそっと寄り添いますように。  
合掌

令和7年12月15日

大本山 弘法寺
住職 上田 昭憲

12/27弘法寺年末の煤払い・仏器磨きのご案内